やきもの戸田工房
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陶芸関係のHPをご覧の方は、ご自分でもやきものをされているのでは。そうした方に、少しでも自分の経験や知識がお役に立てればと思います。一般的な成形や技法に関することであれば、たくさんの書籍やサイトでも発表されています。ここでは、色々な陶芸店(材料関係)や粘土、道具、釉薬について、書いていきたいと思います。私が美濃地方で修行した関係で、美濃・瀬戸に偏るかもしれません。他の地方の情報がありましたらぜひお教えいただければと思います。
陶芸材料店について

最近は陶芸ブームで陶芸の原料や道具に関するお店が増えています。
陶芸雑誌を開けば色々なショップの広告があり、
ウエブ上でもそうしたお店のサイトを見ることが出来るようになりました。
一口に陶芸材料店といっても概ね3種類に大別できます。
1.陶芸全般の商社

大きいものは窯から小さいものは道具まで、一通りそろっている陶芸のデパート。陶芸雑誌に広告をのせている会社が多いので、ご存知の方も多いと思います。
 
代表的なところでは、全国展開している所で、シンポやグッド電機、新日本造形など、東海地方では日陶産業、伊勢久、ボイス・オブ・セラミックス、関東地方では丸二陶料、新柳北信といった所。
こうした所は、商品ごとに専門の商社・メーカーから仕入れをしているので、幅広い取り扱い商品と豊富な在庫を持っています。日本全国の粘土を扱っていますし、海外の原料なども取り扱っている会社もあります。
 
あくまでも中間商社(中には自社製品もあるようですが)ですので、どうしても値段は割高になります。土などでは、粘土屋さん直接の場合にくらべて1.5倍〜2倍3倍くらいの値段です。割高といっても、最近はデフレの影響からでしょうかかなり値下げ競争をしているようです。各商社とも大体似たような商品構成で、ほとんどがOEMでしょうから、そうしたことになるのは避けられないのでしょう。
 
割高感というデメリットの一方、とりあえずここに来れば殆ど用が済む、というメリットが有ります。「粘土はAに電話して、釉薬はBにFaxして、しかも送料がそれぞれかかる」と、いうようなことが無くて済みます。窯やロクロ、各原料のサポートが必要な方も、ぜひ利用するといいと思います。釉薬や粘土のテストピースを無料で送付してくれる会社もあります。
2.原料、粘土、釉薬、道具の専門店

上記の商社は陶芸全般をカバーしてますが、粘土専門店や上絵具専門店など、それぞれの分野を特化して売っているところです。メーカーから卸して売る中間業者ですが、なかには自社製造の粘土とか道具を扱っているところもあります。

こうしたお店は取り扱っている分野の商品種類の多さと、価格の安さが魅力です。最近は小売もしてくれて、宅配便で地方発送してくれるお店が増えてきています。

東海地方は、瀬戸・美濃・常滑・万古などの窯業地が多いため、陶芸関係の専門店が結構あります。他の地方で陶芸をやっている方からすると、うらやましい環境です。私も用事でこの手のお店によく行きますが、色々な道具や粘土を時間を忘れて見てしまいます。

疑問に思っていることを質問すると、時には本にも書いていないような事まで教えてもらえるので、私のような個人陶芸家からすると、とっても心強い相談相手です。

3.粘土・釉薬のメーカー

商社や専門店、製陶工場に粘土や釉薬を製造して卸しているメ一カ一。

粘土の場合、1t単位で取引している所から、20k単位で個人にも小売してくれる会社もあります。釉薬の場合は18リットル単位がほとんどのようです。
メ一カ一直で買ったほうが割安だとおもわれるでしょうが、卸している販売店との関係上、上記の専門店などと価格はあまり変わらないところが多いようです。場合によっては、手数料分の値引きがないので逆に高くなることも。

しかし商社や専門店では買えない独自の土や釉薬があります。現役の陶芸家が使っているものと同じものが手に入ったりします。取り扱いが増えれば、配達や値引きしてくれるところもあります。

そして商品知識はもちろんエキスパート。ある粘土屋さんのご主人は私の焼成作品を見ただけで、どこの粘土屋のなんという土かをズバリ的中させ(見た目普通の白土なのに)、とてもビックリしたことがあります。

image camra : contax T2
陶芸材料店の選び方

上記3タイプの陶芸店ですが、それぞれメリット・デメリットがあります。

さてどのお店で購入するか?
取り扱い商品、粘土や釉薬を気に入ることはもちろんです。

でも、私がお店を選ぶ際の一番の評価ポイントは、価格の安さや品数の多さなどよりも、
わからないことを気軽に質問でき、誠実に対応してくれるかどうかです。

瀬戸・美濃・有田など窯業の産地では、陶芸=産業です。原料店は本来、そうした産業に対応する業務に比重を置いています。プロ・趣味に関わらず対個人との取引を、敬遠したがる原料店があります。また地元優先というのでしょうか、地元の客と他の地域の客と値段が違う業者もあります。
逆に、ニーズの変化に対応し個人客との取引に力を入れているところもあります。

その見分け方は簡単です。電話で商品カタログを請求してみましょう。その対応でだいたい見分けがつきます。
「カタログがない」「価格表を送りたがらない」。そうした所は地場のみで商売しているところ、もしくは店主に難アリのところです。交渉するのは労力の無駄です。
サクっと送ってくれる業者にしましょう。
でも、カタログの豪華さはあまり参考になりません。手書きイラストや文字だけの価格表であっても、よい業者もあります。
要は、一連の応対の印象です。きもちいい応対は商売で当たり前です。なにも陶芸に限ったことではないですよね。(なぜ陶芸業界だけ特別扱いだったりするんだろう・・・)

陶芸の場合、制作上の問題や悩みなどの解決は、個人の美的感覚や経験に負うところが大です。
それぞれの窯業地には私などより何倍もの知識・経験を持った方が沢山いらっしゃいます。
そうした経験豊かな方のアドバイスが直接問題を解決してくれることがあったり、
第三者の意外な一言が創作のヒントになることもあります。

お店とお付き合いするということは、単に商品購入にとどまらないのだと思います。

質問する際注意したいのは、店の企業秘密になるような事、例えば、この粘土は何と何を混ぜている?とか、釉薬の成分比を教えて?などは、聞いてもほとんど教えてもらえません。
ですので、私は陶芸材料店特にメーカーや専門店には、自分がしたいこと困っていることを率直に質問しています。
例えば、「もっと鉄分が多くて荒めの土はないか」「土が乾燥すると切れるので困っている」など。

もし解決したいことが具体的に無く、色々な釉薬や粘土を見てみたいということなら、商社系の材料店の方が便利です。写真付きカタログやテストピースの送付や、1KG単位の小分けを実施しているところが多いからです。

あと、これも陶芸材料店に限ったことではありませんが、
自分のレベルを正直に相手に伝えたほうが、親切に教えてもらえると思います。
お客さんの中には、馬鹿にされたくないと思うのでしょうか、最初から専門用語を連発で聞いてくる方がいらっしゃいます。店員は会話していくうちに、お客様の陶芸に対するスタンスや知識がおおよそわかります。(某ショップのスタッフだった私の経験からそう言えます)
知ったかぶりは、時間の無駄です。
初心者であることや、知らないということは、全く恥ずかしいことではありません。
だから、初心者の方は堂々とビギナーだと告げてどしどし聞いちゃいましょう。

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